墨と紙、その間にあるもの

墨と紙、その間にあるもの

水墨画を楽しむための画仙紙

水墨画を描くとき、まず目が向くのは筆や墨かもしれません。
どんな筆を使うか。墨をどれくらい濃くするか。水をどれくらい含ませるか。
けれど、その一筆を受け止める「紙」もまた、墨の表情をつくる大切なものです。
同じ筆、同じ墨を使っていても、紙が変われば、にじみ方や線の表情は変わります。
水墨画の面白さは、墨一色の中に生まれる、さまざまな表情。
濃く、淡く。にじんだり、かすれたり。力強く、あるいは静かに。
一筆ごとに生まれる違いを楽しみながら、紙の上に墨の景色を描いていきます。


紙が変わると、墨の表情も変わる

水墨画で大切にされる「濃淡」「にじみ」「かすれ」。
これらは、墨や筆だけで決まるものではありません。
墨をすっと吸い込む紙。墨をほどよく受け止める紙。筆先の動きを、そのまま線にしてくれる紙。
紙の性質によって、同じ筆づかいでも仕上がりは少しずつ変わります。
だからこそ、水墨画を描くときには、筆や墨と同じように「どんな紙に描くか」に目を向けてみる。
それだけで、いつもの一筆が少し違って見えてくるかもしれません。

一枚の紙から、描くものを考える

紙を前にして、今日は何を描こうかと考える。
竹のしなやかな葉。蘭の静かな佇まい。山の遠い稜線。水辺に浮かぶ景色。
水墨画には、身近な自然を墨だけで表現する楽しさがあります。
描くものによって、欲しい線も、墨の表情も変わる。
その違いを楽しめるようになると、紙選びも少し面白くなってきます。


「芥子園 竹」
にじみと濃淡を楽しむ紙

鳥取市佐治町でつくられている、機械漉きの画仙紙です。
自然な白色の紙肌と、ほどよい厚みの「並口」タイプ。
にじみはやや多めで、墨の濃淡が美しく表れます。
墨を置いたところから、ゆっくりと広がっていくにじみ。筆を運ぶ速さや墨の量によって変わる濃淡。
かすれとにじみが重なり合うことで、紙の上に豊かな表情が生まれます。
竹のように、線の強弱や墨の濃淡を楽しみたい題材にも。
「きれいに描く」だけではなく、墨が紙の上で変化していく過程も楽しめる一枚です。


「芥子園 蘭」
すっきりとした線を楽しむ紙

こちらは鳥取市青谷町でつくられている、機械漉きの画仙紙です。
厚口でかための紙質で、紙の色は生成りに近い白色。
にじみは少なめで、墨の濃淡を美しく表現しながら、すっきりとした線を描くことができます。
筆を入れたときの線を大切にしたいとき。輪郭をすっきりと見せたいとき。
そんな表現に向いています。
一辺を糊づけしてあるため、一枚ずつはがして使えるのも特徴です。
必要な一枚を取り出して、気軽に筆を走らせることができます。


「竹」と「蘭」、どちらを選ぶ?

同じ「芥子園」でも、紙の性質はそれぞれ。
にじみや墨の濃淡を活かした、やわらかな表現なら「竹」。
すっきりとした線と、墨の濃淡を楽しむなら「蘭」。
どちらが良いということではなく、描きたいものや、その日の気分に合わせて選んでみる。
今日は、にじみを楽しんでみよう。今日は、線をきれいに描いてみよう。
そんなふうに紙を選ぶことも、水墨画の楽しみのひとつです。


墨と紙に向き合う時間

水墨画には、少ない道具で始められる気軽さがあります。
筆を持ち、墨を含ませ、紙に一筆を置く。
その瞬間に生まれる線やにじみは、二度と同じものにはなりません。
思い通りにならないことも含めて、墨と紙の間に生まれる表情を楽しむ。
それが、水墨画の奥深さなのかもしれません。
鳥取でつくられた画仙紙を一枚手に取り、ゆっくりと筆を運んでみる。
紙の上に広がる墨の表情を眺めながら、自分だけの一枚を描いてみませんか。


水墨画用紙「芥子園」

にじみや濃淡を楽しめる「竹」と、すっきりとした線を楽しめる「蘭」。
それぞれ異なる書き味を持つ、鳥取生まれの画仙紙です。

描きたいものや表現に合わせて、
お気に入りの一枚を選んでみてください。

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◆いちしについて

紙のはじまりの地、鳥取より
職人・生産者・紙屋が一体となり歩む、唯一の紙
「いちし」

様々な伝統が根付く山陰・因州
千三百年以前より私たちの先祖は、自然に恵まれたこの地で
紙を漉いてきたと伝えられています

日本中の和紙名産地から厳選した原料と技術を余すことなく用いて
はじまりの地・鳥取より一つひとつ丁寧に心を込めてお届けします

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