因州和紙は古くから鳥取県東部の旧国名、因幡の国で生産される手すき和紙の総称です。
現在では、鳥取市佐治町と鳥取市青谷町にて受け継がれています。
このうち、佐治町は鳥取市の南部、岡山県との県境に位置し、鳥取市の南の玄関口となっている豊かな自然に抱かれた町です。
古くから因州和紙の産地として知られていますが、二十世紀梨の生産や星の公開天文施設「さじアストロパーク」なども有名で、「星・梨・和紙・話・石」の五つの「し」を地域資源として活かした地域づくりに取り組んでいます。
因州和紙は産地によって原料が異なり、佐治町では主に三椏(みつまた)を原料としています。
三椏紙は特にきめが細かく筆運びが滑らかなため、「いくら書いても筆が傷みにくい」「墨がかすれることなく長く書ける」という意味で「因州筆切れず」と言われるほど高い評価を受け、全国の多くの書道家に愛用されています。
昭和50年に和紙としては全国で初めて「経済産業大臣指定伝統工芸品」に指定され、さらに翌年8月には『因州佐治みつまた紙』が鳥取県無形文化財に指定されました。