自然と暮らしが織りなすかたち
-鳥取の工芸品を訪ねて-
鳥取県伝統工芸品半世紀展
「ようこそ、ようこそ 50年、これからも」
鳥取の自然が育んだ伝統工芸には、
どこか懐かしく、そして力強い魅力があります。
今回訪れた展覧会は、今年3月に開館したばかりの鳥取県立美術館で開催されており、
県の伝統工芸品指定制度40周年、
「因州和紙」と「弓浜絣」の国指定50周年という節目の年にあたります。
会場を歩いていると、手仕事が生まれてきた背景や土地の記憶が、作品を通して静かに語りかけてくるようでした。


縄文・弥生の時代からこの地にはものづくりの営みがありました。
自然素材に手を加え、道具や衣服を少しずつ改良し、使いやすく、美しくしてきた先人たちの知恵と工夫。その積み重ねが、いま目の前にある工芸品の中に生きていると感じます。
大量生産にはない、時間と想いが込められた一つひとつの手しごと。どれもが唯一無二で、暮らしの中にそっと寄り添ってくれそうです。



「ようこそ、ようこそ」。因幡の方言であるこの言葉には、感謝と歓迎、敬意の心が込められているそうです。展示を見ながら、この言葉が持つ温かさを何度も思い出しました。
過去から未来へ受け継がれていく伝統の重みと希望。その現在地を感じさせてくれる、心に残る展覧会でした。
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因みに、美術館エントランスには
森村泰昌の作品《モリロ・ボックス》がありました「ブリロ」ではなく「モリロ」。
来館記念に1枚。